今、地方にこそクリエイティブの力が必要です。(宮崎県西都市)元講師にインタビュー

2019年12月23日 ニュース
本日は宮崎県西都市にいらっしゃる日本デザイナー学院東京校の元講師、鎌田一成先生にインタビューをしました。
鎌田先生は、東京の大手広告制作会社の本社から福岡支社長を歴任され、その後、故郷である宮崎県西都市に帰郷。
宮崎県西都市の観光協会事務局長をされました。
現在は、建設関連の地方ビルダーで広告制作や建築デザインに取り組まれています。
鎌田先生が透明水彩で描かれた西都市の風景。自然に囲まれたこの西都市は、宮崎県のほぼ中央部に位置する市で、
人口は約2万9000人。農林畜産業が中心の街です。
鎌田先生の描くような田園風景が広がっている西都市です。
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地方創生には、デザインの力が
必要不可欠だと語る鎌田先生。
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過去は美しいデザインやカッコいい、センスのある広告物をつくる事がデザイナーの仕事でした。
なぜなら、当時はそれで企業の売り上げがつくれたからです。
しかし現在では、グラフィックに留まらず、映像、web、イベント企画・運営など様々なメディアを扱うようになりました。
伝える手段が多様化した現在では、それらの扱い方や概念を理解していかなければなりません。
そして、より企画力が求められるようになっていると思います。
そう考えると学生の皆さんも、学ばなければならないことの領域は、確かに広がりました。
ただ、過去も今も物事の本質は変わっていません。私は学生たちに「デザインは問題・課題解決の手段」だと常に伝えてきました。
デザインは社会や企業の問題・課題解決の手段に過ぎませんが、私が今、暮らしているこの西都市でも、
デザインの力、クリエイティブ思考は本当に必要不可欠なものだと感じています。
例えば、私が帰郷した時に勤めた西都市観光協会でも、西都市の魅力を伝えるために、印刷物、ホームページや映像はもちろん、
時にはお祭りなどの集客や海外からの旅行者を増やすための企画など、様々なアイデアが求められるようになりました。
印刷物を制作をするためには、もちろんイラストレーターやフォトショップなどのアプリケーションを使用しますが、
制作する前に、何を誰に伝えたいか、どのようなデザインが必要かを「考える力」が大切です。
アプリケーションを使うだけなら、オペレーターですからね。デザイナーやクリエイターはそれとは違うのです。
デザイナーの仕事は、今こそ地方に必要不可欠なものだと強く感じていますし、そうした仕事を活かせる職業が地方にこそあると思います。
 
西都市観光協会が観光ブランドポスターとして作成した「下水流臼太鼓踊」
「第5回日本の伝統まつりポスターコンクール」にて優秀賞を獲得。
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ただ、それらの職種がハローワークなどの求人にに出ていることは、まだないと思います。デザインの重要性に気づいている企業や行政はまだまだ少ないからと思います。だからこそ、デザイン学校に通う学生の皆さんは、日本デザイナー学院で経験してきたことや、学校で実施してきた実践的なプロジェクトをポートフォリオに入れて、デザイン会社だけではなく、様々な企業や役場、私が勤めたような観光協会に自分自身を売り込んでいって欲しいと思います。
デザインの専門学校で学ぶ皆さんたちのようなクリエイティブ思考を必要としている会社や市町村、社会は必ずあるはずです。
観光協会で働いていた時も、そんな生徒さんが採用試験に来てくれないかと感じていましたね。
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行政だけではなく、これからの企業は
クリエイティブの力が求められる。
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私は、この西都市の観光協会で勤務した後、今は建設関連の地方ビルダーの広報室に勤務しています。
 クリエイターとして、CM、カタログ、新聞広告等、会社のブランディングを行っています。企画からデザイン等、やりがいのある仕事です。近い将来、自分でデザインした自宅を建設したいと思っています。
私は、今、この会社のブランドデザインをしています。デザインの現場での経験があったからこそ、この必要性に気づけたのかもしれません。しかしどのような業種であっても、これからの企業はこうしたブランドデザインが大切なことだと思います。
伝えたいことは何かだけではなく、クライアントは何を求めているか、何が必要か、そのベネフィットをデザインしていかなければならないと考えています。
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デザインを学ぶ学生に伝えたい事は?
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私は大手広告制作会社に入社した時、先輩から「仕事は私事」と教えてもらいました。
もちろん今の時代には、ライフワークバランスを考えていくことはとても大切な事だと思いますが、仕事はやらされるものではなく、私ごとにして考えなさいと教えてもらいました。学生の皆さんも、私ごとに捉えてもらえると見方が大きく変わると思います。
若い時期は少しでもメジャーな会社、大きな仕事に憧れますが、 企業の大小、仕事の規模にこだわらず、デザイン力を活し続ければ必ず素晴らしい成果が実ります、 更に人間力を磨いて様々な方々とつながり、自分自身の専門性の厚みを増し、どんな分野でもソリューションに挑むクリエイターになってほしいと思います。そうした力を持つ皆さんを西都市だけではなく、日本の社会全体が今、必要としていることと思います。
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以上でインタビューを終わります。
鎌田先生お忙しい中、本当にありがとうございました。
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