卒業生は今~卒業して10年。フォトグラファーとして活躍する森田麗子さん~

2019年9月9日 ニュース

本日は、フォトグラファーとして活躍している日本デザイナー学院九州校 写真科(現/映像・写真科)卒業生の森田麗子さんのインタビューです。テスト撮影の現場に伺ってきました。

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(現在のお仕事の内容を教えてください。)

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(森田さん)スタジオで物撮りを中心としたフォトグラファーをしています。今、撮影しているのは「お土産物品」とか「お菓子」とか…「料理〈フード〉撮影」ですね。店舗の看板やレシピ本、ディスプレイ用のPOPに使用される宣材写真を撮影しています。ジャンル的には広告写真になりますね。私のイメージだとフォトグラファーの仕事って、モデル撮影とか、ファッションとかブライダルとか、「人を撮る」仕事のイメージが強かったのですが…。料理写真を中心とした物撮りに10年関わってきて、今はこの世界の奥深さを感じています。

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(10年…そのくらいキャリアを重ねたからこそ見えてきたことでしょうか?)

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そうですね。私は20歳の時、ニチデの写真科を卒業して、濱田写真事務所にアシスタントで入りました。入社した頃は、本当に「ボロボロ」でした。いくら専門学校で学んできたとは言え、いま考えればライティングとかもできていませんでしたし、仕事を進める上で何をどうしたらいいか本当にわかりませんでしたね。そこからは全てを見て盗む感じでしたね。当時は今と違って、デジタルではなくフィルムの時代でした。4×5(大判)カメラで撮影をしていました。失敗は許されない一回、何十万という金額の撮影、本当に緊張感のある現場でアシスタントをしていました。今でも当時を思い出したら「何でもできるんじゃないかと…」経験は今に生きていますね。

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(アシスタント経験は何年ほど積まれたのですか?)

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そうですね。スナップの撮影とかは比較的早い段階で撮影するようになりましたが、スタジオで「この仕事を森田に任せる」と言われるまでに…5年かかりましたね。

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(初めて撮影を任せられた時はどんな心境でしたか?)

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本当なら嬉しいはずでしょうが、私はただただ「怖い」と感じていましたね。ハートが弱かったからですね。怯えながら撮影をしていましたね。頭の中で、何度もシュミレーションして、ライティングとかセッティングもめちゃくちゃ考えて、撮影が始まったら、身体がぱっと動くようにしていましたね。

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(料理写真と普通の商品撮影では撮影に違いがありますか?気にしている・注意していることはありますか?)

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例えば、鍋の料理撮影をするとしますね。普通の商品撮影なら時間をしっかり掛けてつくり込んでいくことができますが、料理は時間の経過と共に劣化してしまいますよね。出来たてのイメージで撮影をするために、例えば、ぐつぐつと煮えた感じを出したいとかですね。機材を使用して湯気をだしたり色々な工夫をして、フードスタイリストの方と協力して撮影することが多いです。一人で撮影することは殆どなくて、撮影の現場はディレクターの方やクライアントの方も含めると7人くらいのメンバーで一緒につくることもあります。チームワークが大切だと思います。

▼森田さんが撮影した料理写真の数々

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(その現場もまた緊張しますね。)

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そうですね。緊張…していましたね。でも今は自分の意見もちゃんと言わなければならないし、10年のキャリアを経て、ようやくという感じですね。

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(お仕事はどうやって入ってくるのですか?営業などするのですか?)

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私の場合、ありがたいことに営業は殆どしません。人のつながりの中で、紹介をしてもらうケースが多いですね。例えば、フードコーディネイターの方が「今度の仕事でフォトグラファーを探していたよ?」とかですね。私のアシスタント時代の下積み経験を知っている人達から、今も仕事を頂いたりしています。

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(きっと厳しいアシスタント時代だったでしょうね。そんな業界から逃げたいと感じたことはなかったですか?)

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う~ん。私はハートが本当に弱いんです(笑)。だから当時の私は勇気を持って、逃げることすらできませんでした(笑)

でも、専門学校の頃のバイトは辞めることができたんですよ。「写真に専念をしたいからアルバイトを辞めたい」と言って。でも写真は自分のやりたいと思っていたことだから、そんな言い訳はできませんでした。だから逃げ出せなかったかもしれません。でも私のボス(フォトグラファーの濱田さん、以下ボス)は厳しい人でしたから、アシスタントをしていた自分と同世代の人が何人か辞めていきました。もちろん今でもボスは怖いです(笑)。でもこの凄いフォトグラファーのアシスタント経験がなかったら、今の自分は無いと思います。

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(アシスタント経験を経て、フリーランスになろうとしたきっかけは?)

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少し大げさな言い方になりますが、「人はいつか必ず死ぬ」と感じたことがありました。いつか終わる時が来るのに、自分はこうしてアシスタントだけをやっていていいのかなぁと考えるようになりましたね。

だから「自分の仕事がしたい」と思うようになりました。

自分は天草出身だったので、天草の仕事もやっていきたいと考えるようになったし、アシスタントだと自分の仕事を受けてくることはできないから。まぁ今もボスのアシスタントは続けていますから、環境はあんまり変わらないですが今はフリーで仕事をするようになりました。

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(フォトグラファーとしての夢はいつからですか?)

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高校時代のころ進路を決める時、ちょっとした写真ブームだったと思います。デジタル一眼が売れていた時期でもありましたね。少し恥ずかしいエピソードですが、高校の時、運動場でみた夕日がめちゃ綺麗で「何でこれを誰も残さないんだろう?」そう感じたのが写真をやりたいと思ったきっかけですね。写真ともう一つグラフィックデザインにも興味がありましたから。ニチデを選んだのは、写真とデザインが学べる環境があったからです。

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(学生時代を思い出して何か印象に残っていることは?)

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講師の先生方が本当にリアルカメラマンだから、授業というよりは、現場感覚を教えていただきましたね。

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(周りの友達は?どういう存在でしたか?)

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そうですね。私は同じ学科の学生より、多学科の学生とのつながりが多かったです。グラフィックデザイン科やインテリアデザイン科とかですね。実は今でもめちゃつながっていて、同級生たちが今でも仕事をくれます。今回(テスト撮影)の撮影もグラフィックデザイン科の同級生からいただいた仕事ですよ。

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(そして、就職活動をはじめたのですね)

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学生時代、写真を学びながらも「写真でどうやって仕事をしたらいいか」そのイメージがついていませんでした。卒業後は東京にいくべきか?福岡でやるべきか?…そんな時、講師の先生からこのスタジオをご紹介いただきました。フォトグラファーの濱田さんがアシスタントを探しているから面接に行ってみなよ。そう言われてこの事務所の門をたたきました。スタジオに入ると、高い脚立に乗って、大がかりなライティングのセットを組んで、様々な機材を使用して撮影している現場を見て、これが写真撮影の現場かぁ「なんだこれは!」と感じましたね。普通の採用試験って感じではなくて、面接はボスと食事にいきました。

これ面接なの?と思いました(笑)

「きちんと挨拶ができるか?」「きちんとお礼が言えるか?」「気がつかえるか?」後に聞いた話ですが、その食事の席でボスはそんなことを確認していたみたいです(笑)

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(地元天草で写真展をされたということですが?)

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そうですね。もう3年前になりますが、私の知り合いのイラストレーターの子がグループ展をやるから麗子ちゃんも出して、という事になり。私もフリーランスとしてはじめる頃だったので、天草の仕事も受けてみたいのもあったし、モノばかりを撮影してきたので、様々な人を撮影したいという気持ちもあって、人間味みたいなものも撮れるといいなぁと思って。

天草の人100人を撮影しましたね。天草にある本町ふるさと美術館(廃校となった本町中学校を改装してつくった美術館)で発表しました。その展示をしたおかげで、天草の仕事もいただくことができました。

▼森田さんが撮影した天草の人の写真

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(ギャラリーを借りて作品を発表する事って、その価値がわからない学生もいると思いますが、森田さんは作品を発表する意味ってどう感じられていますか?)

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そうですね。自分の写真を多くの人に「作品」として見ていただける機会って、なかなかないじゃないですかね。よほどフォロワーがいたら別ですがSNSもある程度、特定の人達だし、いろんな人にリアルにあって、作品を見てもらい、こんな活動をしているというメッセージを伝えるのはとても大切だと思います。

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(機材はどんなものを使用していますか?)

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今の時代、スマフォもあるし、写真は誰でも簡単に撮れますよね。私の撮影は少し面倒な機材を使用しています。このハッセルブラッドです。このカメラで撮る写真は質感や空気感が全然違うんです。この機材をずっと使用してきているので、愛着もあるし、最新の技術と古き良きを合わせたような機材ですね。

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(今後はどのような活動をしていきたいですか?)

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ニューヨークとか海外にいきたいですね(笑)お盆休みにもイタリアに旅行してきましたが、海外には本当に興味あるんです。自分の色を出せるようになりたいですね。ある程度は自分のカラーが出せてきていると思いますが、もっと出せるようになりたいですね。

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(今日のようなテスト撮影はよくするのですか?)

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そうですね。テストをしてライティングを練る事が多いです。ライティングでどんな見せ方をするか、どんな撮り方だとより良く見えるか、色々考えます。
本番は一週間後なんですが。

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(最後にこの業界を目指す方へメッセージを)

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「とにかく飛び込んで!」この業界の事って実際には分からない、知らないことも多いと思います。分からないからモヤモヤもしますね。でも飛び込んでみたら道は開くような気がします。ごめんなさい。これ、男の人らしい発言ですね(笑)

以上でインタビューを終わります。森田さんテスト撮影のお忙しい中ありがとうございました。これからの活躍が益々楽しみです。

▼PHOTO REIKO MORITA

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